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ストーカーに殺された私、死に戻って冷徹社長の偽装妻になったら、娘ごと溺愛されています
ストーカーに殺された私、死に戻って冷徹社長の偽装妻になったら、娘ごと溺愛されています
Author: さぶれ-SABURE-

第1話 私は、ストーカーに殺された

last update publish date: 2026-08-30 11:56:43

 ――私は、殺された。

『これで、ようやく家族になれるね』

 突然、背後から聞こえた男の声。口を塞がれ、抵抗する私を、男は強い力で押さえつけた。

 全部、陽奈のために頑張ったこと。

 この子を不自由なく育てたかった。

 そのために必死に働いた。

 でも、こんな未来が待っているなら――

 もっと一緒にいればよかった。

 もっと抱きしめればよかった。

 もっとたくさん、話を聞いてあげればよかった。

 ごめんね、陽奈。

 ママ、あなたをひとりにしてしまう。

 その後悔を最後に、私の意識は途切れた。

 ――はずだった。

 ※

「相沢さん。相沢さん」

 誰かが私を呼んでいる。

 ゆっくり目を開けると、見覚えのある男性が私を覗き込んでいた。

「顔色が悪いですよ。大丈夫ですか?」

 瓢真人(ひさご・まさと)。

 私が勤めるIT企業、ネオリンクスカンパニーの社長だ。

「……社長?」

 どうして社長がここに?

 私は、家に侵入していたストーカーに殺されたはずなのに。

 周囲を見回す。

 ここは……会社の休憩室。

 壁に掛けられた時計とスマートフォンの日付。それを見た瞬間、息が止まった。

 この日付は半年前……。

「相沢さん?」

「……っ」

 生きてる。

 私は、生きている。

 震える手で自分の胸元に触れた。

 心臓が動いている。

 息もできる。

 殺された時の傷もない。

 戻ってきたんだ。

 どうしてなのかは分からない。

 でも、そんなことはどうでもよかった。

 陽奈は?

「すみません、娘……娘は!?」

「え?」

 慌ててスマートフォンを開く。

 わき目もふらずに保育園に連絡を入れた。

『はい、あかつき幼稚園です』

「先生っ、すみません! 相沢です。相沢陽奈の母ですっ。陽奈は……陽奈は元気ですか!?」

『陽奈ちゃんですか? えっと……ああ、給食も残さず食べて、今、お昼寝していますよ』

 それを聞いて、崩れ落ちそうになった。

 なんとか堪え、礼を言って予定通り迎えに行くと伝えて電話を切った。

 陽奈は生きてる。そして私も……。

 ぐらりと視界が揺れた。

 立ち上がろうとした私の身体を、瓢社長がとっさに抱き留める。

「無理をしないでください」

「す、すみません……」

「謝らなくていい。病院へ行きましょう」

「でも仕事が……」

「仕事?」

 瓢社長の眉がわずかに動いた。「そんな状態で、まだ仕事の心配をするんですか?」

「……」

 何も言い返せない。

「今日は帰ってください。仕事はこちらで対処します」

「でも……」

「相沢さん」

 低い声で名前を呼ばれた。

「あなたが倒れても、会社は回りますので心配には及びません」

 はっとさせられた。

 自分がやらなきゃ。

 もっと働かなきゃ。

 もっと稼がなきゃ。

 ずっとそう思っていた。

 でも、その結果が――あの最期。

 もしかすると、これは、やり直しのチャンスなの?

 働き虫になってしまった私を哀れんだ神様が、陽奈とやり直せるチャンスをくれたのかも――

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